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ダービー 「田園風四季」より「冬」の男性像(1752-55年頃)
A Derby Male Figure of 'Winter' from the 'Rustic Seasons' C.1752-55



 アンドリュー・プランシェ(Andrew Planche)経営下、ドライエッジ期ダービーの「冬」のフィギュア。ドライエッジ期には2種類の「四季」セットが作られており、一つは子供の座像(ダービー(D1-11)参照。)で、もう一つが本作品の含まれる成年の立像からなる「田園風四季」セットである。このセットは、それぞれの季節が男女2体の組合せからなっており、合計8体のフィギュアのセットである。

 本作品は、帽子をかぶりコートを着た男性が足元の焚火に手をかざしているフィギュアである。対となる女性像もスカーフを頭にかぶりコートを着て足元の火鉢に手をかざしている。モデラーは、イタリア出身のアゴスティーノ・カーリーニ(Agostino Carlini)だと考えられている(ダービー(D0-1)ダービー(D0-3)参照)。

 台座側面に釉薬の掛かっていない部分(ドライエッジ)が明確に見える。背面下部には燭台など金属支柱を取り付けるための丸い穴がある。

 彩色の施されたドライエッジ期作品は少なく、彩色がダービーで行われたのか、外部で行われたのかは常に議論の対象となる。よく言及されるのは、1750年代初頭にロンドンで磁器絵付けを行っていたウィリアム・デュズベリー(William Duesbury, 後にダービーの経営者となる)であるが、彼がダービーのフィギュアを扱っていた記録(ダービーの「四季」セットを含む)はあるものの、その絵付けの特徴はほとんど分かっていない。


高さ(Height):16.8cm

マーク:なし
Marks: None


類似作例(ニューサウスウエールズ美術館(Art Gallery of NSW)のサイト):
 https://www.artgallery.nsw.gov.au/collection/works/L2012.111/

「冬」の女性像の作例(V&A博物館のサイト):
 https://collections.vam.ac.uk/item/O165660/winter-figure-carlini-agostino/


参照文献(References):
-Peter Bradshaw "18th Century English Porcelain Figures 1745-1795" Model J32 (pp.186-187 & 301, Colour Plate J, Plates 96-99)
-Peter Bradshaw "Derby Porcelain Figures 1750-1848" Model B32 (pp.31& 44-46, Plates 28-31)
-Stuart Shepherd "Derby Porcelain Figures 1750-1848 An Illustrated Catalogue" A67-74 (pp.47-49)
-Dennis G. Rice "Derby Porcelain The Golden Years 1750-1770" Plates 4a&c, 10a-b, 11b, 12 and 13, pp.27, 31 and 179
-Arthur Lane “English Porcelain Figures of the 18th Century” Plate 60B (pair of winter figures) and p.99
-J.V.G. Mallet "Agostino Carlini, Modeller of 'Dry-Edge' Derby Figures?" British Ceramic Design 1600-2002 (ECC) p.48

(2025年4月掲載)